内定辞退率から見る就活の3つのミスマッチ
就職市場は就職氷河期から採用氷河期へ
以前、経済情勢の悪化により大学生の就職率が例年よりも低い時期がありました。その1993年~2005年くらいまでの時期を「就職氷河期」と言います。この時期は企業が採用を控えていた事もあり、求職者が一つの求人に集中する傾向があった為、企業側にとって有利な「買い手市場」だったのです。
しかし、2012年以降の安倍内閣によるアベノミクスの影響で景気が上向きになった事もあり、採用を控えていた企業が募集を再開し、求人数が求職者数を上回るようになりました。その結果求職者は求人票を選べるようになった為、現在では求職者側にとって有利な「売り手市場」となっているのです。そして企業側にとって今現在の状況は、なかなかいい人材が採れない「採用氷河期」と言われています。
そして企業側にとって追い打ちをかけるのが「少子高齢化」です。実は想定していたほど若者の数は減っていないのですが、生産年齢人口及び総労働力人口は確実に減少しています。今までは採用の門戸を広げて母集団を拡大すればなんとかなりましたが、若年層の減少により今後はそれも困難になっていくでしょう。
■2018年の内定辞退率のグラフと3つのミスマッチ
出典:リクルートキャリア「2018年内定状況」就職プロセス調査
こちらは2018年6月1日時点における内定辞退率の月ごとのグラフとなります。内定辞退率は毎年5月頃から大きく上昇しており、内定辞退率は近年増加傾向にあるのが読み取れます。
ではなぜ内定辞退が生じてしまうのでしょうか?実は就活で気を付けなければならない3つのミスマッチというのが内定辞退を引き起こす原因なのです。
ちなみにこちらが内定辞退した方の主な理由の上位結果となります。
①内定承諾後に会社を詳しく調べた結果、本当の実態を知って辞退
②採用情報や面接時の内容と実際の条件に相違があった
③内定式や懇談会などで、社員と雰囲気が合わなかった
④入社前研修などで、社風や仕事内容のギャップを感じた
⑤他社の選考を受けていて、そちらで内定をもらった
⑥面接官の印象や態度が良くなかった
⑦内定後のフォローで不信感を抱いた
⑧大学院への進学・留年の決定
⑨両親・家族の反対
①②③④の理由で内定辞退するケースを、「採用情報のミスマッチ」と言います。採用選考を進めていくにつれて、採用条件や企業の特色など色々な情報が見えてくると思います。しかし、そこに求職者が知りたい情報がちゃんと提示されているかどうかが重要なのです。情報が伝わらなかった場合、求職者との間にギャップが生じてしまい、内定辞退に繋がるのです。これは会社案内やホームページの情報が少ない企業にありがちなパターンです。採用情報のミスマッチを未然に防ぐ方法としては、その企業の良いことも悪いことも、そしてこれからの目標やビジョンもちゃんと包み隠さずに載せている企業を選ぶ事です。
③④⑥⑦の理由で内定辞退するケースを、「業界のミスマッチ」と言います。どの企業も内定後研修や内定者懇談会などを通じて内定者に定期的なフォローを行います。このフォローの目的としては、当然他の企業に行ってしまう事を防ぐ為ですが、業界が合わない人は業務を行う前から周りとのギャップや温度差を感じています。これはなんとなく選考に進んだ企業から内定を貰った人にありがちなパターンです。
採用基準のポイントは人間基礎力
⑤の理由で内定辞退するケースを、「人材のミスマッチ」と言います。どの企業にも採用したい理想の人物像がありますが、その理想の基準が曖昧な企業が実はとても多いのです。内定者が他社に流れてしまう理由は、どの企業からも内定が出るような、世間一般で言う「いい人」が採用基準になってしまっているからなのです。
超大手企業ならいくらでも応募が来るので、「優秀な人」という基準だけで採用が成立しますが、実際は企業によって採用基準というのはバラバラです。実際に大手に就職する人は全体の1割ですし、中小やベンチャー企業でも待遇や理念が素晴らしい企業は沢山あります。高い能力や学歴やスキルがあればそれでいいという訳ではないのです。
むしろいくら能力やスキルがあっても、人と協力出来ない人や偏った考え方の人はいくら優秀であっても企業にとっては不要な人材です。仕事というものは、1つの目標に向かって1人1人が違う役割をこなし、いかに協力し合えるかが重要なのです。
採用基準は企業によって千差万別です。しかし、見るポイントというのはどこの企業もある程度共通しています。採用基準のポイントは①スキル・②マインド・③基礎力の3つです。今回はその詳細を図で表してみました。
■採用基準の3つのポイント
この中で1番大事なのは「基礎力」です。なぜかというと、スキルというのは後からいくらでも身に付きます。価値観や考え方はその都度変化していくものです。結局のところ、人間として社会人としての基礎力や体力がちゃんと備わっていてこそマインドとスキルが身に付くのです。
「あなたは人との約束は守れますか?」という質問に対して、「もちろんそれは守ります。」と答える方が殆どでしょう。しかし、「あなたは自分との約束はちゃんと守れますか?」という質問ではいかがでしょうか。私は以前その質問をされた時に一瞬考えてしまいました。それが人として1番大事な基礎力というものなのです。
にほんブログ村
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。