本当に世の中の役に立つ仕事とは
役に立つ仕事とはシステムに関わる仕事
「私は世の中の役に立つ仕事がしたいです」、私は面接で毎回この言葉を耳にします。やりたい事は分からなくても、これだけは全ての就活生に共通しているのではないでしょうか。勿論立派な事だと思います。しかし、どんな仕事も必要だから存在しているのであって、世の中の役に立たない仕事なんてあるでしょうか?「役に立つ」の定義にもよりますが、本当の意味で世の中の役に立つ仕事とは何なのでしょうか。
結論から言うと、本当の意味で世の中の役に立つ仕事とは、生産力にレバレッジのかかる仕事をする事なのです。要はシステムや仕組み作りに関わる仕事です。それが本当の意味で国を豊かにするのです。
一番簡単な例で言うとやはりIT業界です。携帯アプリやホームページなどのシステムは、一度作れば後は24時間365日自動で作動してくれますし、同時に何人も対応する事が出来ます。この時の生産力は、エンジニアが働いた時間とは比例しないので、生産力にレバレッジがかかるのです。
GDPに騙されてはいけない
順位(GDP) | 国名 | 単位:百万USドル |
1 | アメリカ | 20,580,250 |
2 | 中国 | 13,368,073 |
3 | 日本 | 4,971,767 |
4 | ドイツ | 3,951,340 |
5 | イギリス | 2,828,833 |
6 | フランス | 2,780,152 |
7 | インド | 2,718,732 |
8 | イタリア | 2,075,856 |
9 | ブラジル | 1,867,818 |
10 | 韓国 | 1,720,489 |
世界の名目GDP 国別ランキング・推移(IMF)から抜粋(2019年10月更新)
世界の名目GDP(国内総生産)国際比較統計をランキングにまとめてみました。これを見ると日本は2019年10月時点で世界3位です。この順位だけを見ると、「なんだ、中国に抜かれたとはいえ、日本も頑張ってるじゃん」と思う人が多いでしょう。しかし、GDP(国内総生産)という言葉に騙されてはいけません。実はここには見えていない数字があるのです。
【日本とドイツの生産力の比較】
日本 | ドイツ | |
GDP | 4兆9700億ドル(3位) | 3兆9500億ドル(4位) |
1人当たりのGDP | 3万8500ドル(25位) | 4万4800ドル(19位) |
1h当たりのGDP | 41.1ドル(21位) | 62.2ドル(6位) |
平均年収 | 3万8000ドル(19位) | 4万8500ドル(15位) |
年間労働時間 | 1710時間/年 | 1356時間/年 |
OECD:「GDPと生産性」から抜粋
こちらは日本とドイツの生産力を比較したものです。実は日本とドイツは人口も産業構造も似ているので比較がしやすいのです。この表を見ると、全体のGDPでは日本が約1兆ドル(110兆円)ドイツより多く稼いでいます。しかし、1人当たりの年間GDPはドイツよりも約6300ドル(70万円)も少ないのです。更に、1時間当たりのGDPは約20ドル(2200円)も少なく、平均年収も約100万円少ない事が分かります。にも拘わらず、年間労働時間は日本の方が350時間も多いのです。
という事は、日本人はドイツ人よりも350時間多く働いているのに、年収は100万円も少ないのです。
労働力人口が多ければ数でカバー出来るので、GDPは底上げする事が出来ます。しかし、少子高齢化により労働力人口が減っていく中で日本は何を目指していくべきでしょうか。それは、出来るだけ少ない時間・少ない労働力で多く稼ぐ事です。要は生産力にレバレッジのかかるビジネスを展開していく事が必要不可欠なのです。だからシステムや仕組み作りに関わる仕事が本当の意味で国を豊かにするのです。
レジ打ち・販売員・配達・接客やサービス業などは立派な仕事だとは思いますが、これらは殆どの作業を人力で行うため、これでは生産力にレバレッジがかからないのです。仕事の早い遅いはあるかもしれませんが、人力の場合「生産力=忙しさ」になってしまうのです。それに対し、エンジニアはシステムを構築する事が出来るので生産力や専門性も高く、それが人材としての市場価値に繋がるのです。
システムや仕組み作りが一番大切な理由
なぜシステムや仕組み作りが1番重要なのか、その分かりやすい一例として、世界一成功しているファストフードチェーンはマクドナルドという会社ですが、実はマクドナルドよりも美味しいハンバーガーは誰にでも作れるのです。手間暇かけてハンバーグをこねて焼いて、新鮮なサラダとパンで挟めば出来上がりです。ただマクドナルドよりも美味しいハンバーガーが作れるからと言って、それでマクドナルドを超えられるでしょうか?おそらく店を出してもすぐに淘汰されるでしょう。
マクドナルドが優れているのは味ではなく会社独自の「システム」なのです。実はマクドナルドは多くのIT企業を買収しており、会社独自のシステムを瞬時に世界中で展開出来るという強みがあるのです。企画・開発・生産・仕入れ・オペレーション・マーケティング・広告・ブランディング、値段設定などそれら全体の仕組み作りが他社よりも優れているから成功しているのです。
ちなみに、味に拘るラーメン屋がことごとく潰れていくのがまさにこの理由なのです。いくら味に拘っても「システム」が他と同じでは意味がないのです。確かに味も重要ですが、美味い店なんていくらでもあるからです。会社独自のシステムが持つレバレッジ効果というのは、全てを凌駕してしまうほど計り知れないのです。
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