パソコンが無くてもIT企業から内定を貰える理由
スマホで完結してしまう就活
近年ではスマホの利便性の向上により、パソコンを持たない若者が増加しています。ツイッターやインスタなどのSNSやアプリゲームは一応パソコンでも利用出来ますが、むしろ使いにくいですよね。動画の編集作業や就活のエントリーまでスマホで事足りてしまうので、パソコンが無くとも日常生活にはもはや困らない時代なのです。
「私は文系でITに詳しくないのですがIT業界でも大丈夫でしょうか。」という質問をよく受けますが、「ITの知識やスキルなんて研修で誰でも身に付くので問題ありません」と私は断言しています。重要なのは考え方です。しかし、「私パソコン持ってないんですけどIT業界でも大丈夫でしょうか。」と言われると、正直「うーん・・・・」という感じです。
確かにパソコンを持っていなくても内定が貰えるIT企業は存在します。ただ私個人としてはあまりお勧め出来ません。それは、「エントリーシートや履歴書の作成などで苦労するから」という事ではなく、かなりの確率でブラック企業に当たる可能性があるからです。
「パソコンを持ってない人=ITリテラシーが低い」とまでは言いません。しかし、今はスマホで一発検索の時代です。「検索したら1番上に表示されたから」という理由で行くお店や習い事を決めてしまう人。ましてや人生の重大な進路までスマホ一発検索で決めてしまう人も多く、その場合「情報の掘り下げ」が難しいのです。
実はスマホだと情報を点でしか理解出来ないのです。その場合、情報の妥当性・世の中の立ち位置・客観的な目線など、論理的思考や主体性に欠ける場合が多く、そういう人は就活だけでなく様々な場面で損をしてしまう傾向がありますよ。ではなぜパソコンの無い人はブラック企業に行く可能性が高いのでしょうか?
理由①:必須の資格が無いから
1つ目は資格が要らない事です。誤解されがちですが、確かにIT関連の有益な資格は沢山あります。しかし、その資格が無いと出来ない仕事というのはIT業界には殆どありません。重要なのはスキルと経験なのです。例えば、介護なら介護福祉士やケアマネージャー、不動産なら宅地建物取引士(宅建)、建設業なら電気工事士、建設コンサルなら技術士などの資格が必須となります。
ただIT業界にはこれと言った必須の資格が無いので、「資格が要らないのなら誰でも採用されるのでは?」という誤った認識が、「IT業界でもパソコンが不要」という発想に繋がってしまうのです。
理由②:人月商売をするIT企業が多いから
2つ目の理由として、IT業界ではプロジェクトの作業量を表現する際に、人月(にんげつ)や人工(にんく)といった単位をよく使います。この2つは同義です。1人月とは、「1人だと1ヵ月かかる作業量」の事です。100人月だと、「10人なら10ヵ月、50人なら2ヶ月で終わる」といった意味で使います。
もし300人月のプロジェクトがあった場合、3人なら100ヵ月かかってしまいますが、300人いれば1ヶ月で終わらせる事が出来ます。人月計算で商売をする企業としては、頭数が多い方が早く納品する事が出来るので、その分多くのプロジェクトをこなし、より多くの対価を得られるスケールメリットがあるのです。
しかしその反面、人月商売の場合は1人当たりの人件費や作業量などをあらかじめ設定して計算するので、個人の能力ではなく、チーム全体の仕事量を評価する傾向にあります。要は「質より量」という事です。だから適性に関わらずとにかく頭数を揃える必要があるのです。
本当のブラック企業とは成長出来ない企業
スキルや適性の有無に関わらず、「頭数さえ揃えれば誰でもいい」という事になると、当然高度なスキルを必要とする業務ではなく、ロースキルでも出来る単純作業的なルーティンワークになりがちなのです。確かに仕事は楽かもしれませんが、実はこういう環境が1番のブラック企業なのです。
本当の意味でのブラック企業というのは、成長出来ない企業の事なのです。成長出来る(スキルが得られる)環境であれば、いくら長時間労働で薄給だとしても、その経験を活かしていくらでもキャリアアップや転職が可能なのです。そして転職すれば給料は必ず上がります。
成長出来ない企業の場合、時間とともに年齢とスキルが見合わなくなってくるので、気が付くとその会社以外の選択肢がなくなってしまいます。そして、もしその会社から解雇された場合に人生が積んでしまうのです。
大手に限らず中小でも「優良企業」というのは沢山あります。その見極めの一つとして、優良企業はちゃんと適性基準や採用基準を明確に定めているのです。それに対し「パソコン持ってなくても誰でもいい」という事は適正基準が存在しないので、ブラック企業ほど誰でも出来る仕事しか回ってこないのです。
日本はIT産業において世界に大きく後れを取っており、エンジニア不足が深刻化しています。大手企業なら応募は自然と集まりますが、中小企業はブランドや集客力に乏しく、入社のハードルも低いのではと錯覚してしまいがちです。これはどの業種にも言える事ですが、応募条件は誰でもいいほど怖いものはありません。向いている人、そうでない人を明確に打ち出してくれた方が、お互いにとってより納得感のある就活になりますよ。
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