安定とは企業規模ではなく成長の上にある
就活の際企業に求める安定とは何か
以前ある学校でセミナーを行った際に、「この中で本当は就活するのが嫌な人は手を挙げてください」と聞いたら殆どの人が手を挙げていました。その理由はとにかく将来が不安だからです。いくら売り手市場とはいえ、就活を始める前は色々と不安になる事が多いと思います。だから殆どの人が就活では「安定」というものに拘るのです。
以前「安定性だけで企業を選ぶのは危険な理由」という記事を書きましたが、今回は就活における「安定」の定義について説明したいと思います。
「安定」の本来の意味としては、物事が落ち着いていて、激しい変動のないことです。そして就活における安定の意味について学生にアンケートを取った際にほぼ共通していたのは、「長く勤められて変化がない事」という回答でした。ただ果たしてそれが安定なのでしょうか。長く変化が無い事が安定だとしたら、お給料も変化が無くていい事になりますがそれは嫌でしょう?
「安定とは何でしょうか」と聞かれて即答出来る大人も少ないのではと思います。殆どの人は会社に入れば安定出来るものだと思っていますが、会社に入社しても業務・待遇・組織的なストレスから不安を感じてしまうからです。私が若い人に「安定とは何か」を伝えるとしたら、まず相手に給料はいくら欲しいかを聞きます。しかし、「30歳になったら給料はいくら欲しいですか?」という質問に答えられる学生はまずいません。
例えば22歳で企業に就職して初任給が20万円だったとします。そして仮に30歳になった時の月給が30万円だとしましょう。8年かけて月給が10万円アップした事になりますよね。大抵の人はこれが当たり前だと思っているのです。ではなぜ月給が10万円も上がったのでしょうか?
学生に聞いてみたところ、「信用を得ているから」「スキルが上がったから」という回答が多いのですが、もちろんその通りなのです。出来る事が増えないと給料は増えませんよね。このアップした10万円というのはあなたが成長した分なのです。逆に言えば、自分が成長した分しか給料は上がりません。安定とはあなたの成長の上にあります。つまり安定したいのであれば成長しなければならないのです。
これが分かっていないと、会社に入社すれば会社が勝手に安定させてくれるものだと勘違いしてしまうのです。だから入社後のキャリアパスや研修の内容を詳しく説明しても、殆どの人はそれが当たり前だと感じてしまうのです。会社というのは社員の成長によって安定しているのです。
働きやすい企業よりも成長出来る企業
安定とは成長の延長線上にあります。これが分かった上で会社選びの参考にしてみてください。以前、どんな企業に行きたいか学生にアンケートを取った結果、「働きやすい企業」「楽しく働ける企業」と答える人が多い中、やはり常に一番多いのは「安定している企業」なのです。という事は成長出来る企業に入社する事があなたの安定に繋がるのです。決して大手企業に入社する事が安定ではないのです。
企業選びで一番大事なのは自分の得意な事を活かせる企業です。得意な事を活かせる仕事だからこそ結果も出てやりたい事というのが見えてくるのです。ではその中で成長出来る企業とはどんな企業なのでしょうか?
例えばもしあなたが何かスポーツをやっているとして、サークルと部活どちらが伸びると思いますか?当然部活ですよね。何故かと言うと、サークルと違って部活は自分のペースで出来ないからです。今日はこのくらいでいいかと思っても、監督に無理矢理走らされたりしますよね。確かにその時は厳しくて大変だと思うかもしれませんが、結果的に部活の方が確実に実力を身に付け、達成感を感じながら伸びていくのです。
就業経験の無い学生でもそれはちゃんと知っていますが、それを働き方に当てはめるのは実はなかなか難しいのです。仕事における厳しさとは、パワハラや残業ではなく、正しい方向を見て当たり前の事を正々堂々と行っている企業です。きちんとしたビジョンがあり、それを明確に伝える事が出来る企業です。
その間違った解釈の例として、「ウチの会社は若いうちから色んな事に挑戦出来ます」「ウチは未経験者歓迎です」「ウチは理系文系不問です」、これらはビジョンではありません。これに共感してしまうのは求職者も企業にもお互いビジョンが無い証拠です。
ちゃんとした研修制度がある企業に入社すれば、あとは勝手に成長する訳ではありません。優秀な人とそうでない人との違いとは、「優秀な人は他人に自分の成長を委ねない」という事です。何事も能動的に取り組んでこそ「成長・喜び・自由」を感じる事が出来ますよ。
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