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大手志向からやりがい重視へ~求人倍率の格差拡大~

チェスの駒

企業規模での採用格差

就活市場では相変わらずの売り手市場と言われています。売り手市場とは、求職者の数より求人票の数の方が多い為、就職がしやすい状況の事を言います。ただ実際に就活の近況について学生に尋ねると、「殆どの企業に落ちてしまい、このままどこにも決まらないんじゃないかと不安です。」という声がとても多く上がってきます。この学生のように夏を過ぎた段階で1つも内定が取れないのは、単純に大手しか受けていないからなのです。実は大手企業の求人倍率というのはむしろ上がっているのです。

就活や転職で失敗する人の5つの共通点

企業規模による求人倍率のグラフ

大手企業と中小企業では求人倍率にとても大きな差があります。こちらは2010年3月卒から2019年3月卒予定者の求人倍率のグラフです。従業員300人未満の中小企業の求人倍率と、従業員5000人以上の大手企業の求人倍率を比べるとその差は明らかです。この3年間で中小企業は業績を伸ばし圧倒的に求人が増えていますが、大手企業はむしろ下がっています。これは1人に対して中小なら9.9個の求人がありますが、大手は逆に0.37個の求人しかないという事です。全体で見れば売り手市場ですが、大手は全く売り手市場ではないのです。

大手企業にいくコツはまず中小企業を受ける事

就活を始めた当初は、やはり大手企業など自分が知っている企業を受けますよね。ただ大手企業は30人欲しければ、その後の内定辞退を想定して早期に60人ほど内定を出します。どこにでも内定が出るようなハイレベルな人材ほど大手から多くの「重複内定」を貰い、その枠を確保しながら他の選考を受けます。大手企業の採用選考では内定者の重複内定の傾向が高く、その結果余計に倍率がつり上がってしまうのです。

大手志向はかなり弱まりつつある

大手志向に関するアンケート

こちらは若者に向けた大手志向に関するアンケートの結果です。3位の「絶対に大手がいい」という人は11.4%。2位の「やりがいがあるのなら中小がいい」という人は35.2%。1位の「やりたい仕事が出来るのなら大手がいい」という人は43.1%でした。こちらを見ると1位と2位の差は約8%しか変わりません。近年若者の大手志向はかなり薄れてきており、企業規模よりもやりがいを求める人がとても増えているのです。

安定とは企業規模ではなく成長の上にある

ではその「やりがいのある仕事」とは具体的に何でしょうか?実はこれは働く前に求めても得る事が出来ません。「やりがい」とは実際に行った事に対する苦労や達成感があって初めて得られるものだからです。サッカー経験のない人にサッカーのやりがいを聞いても答えられないのと同じです。だから企業説明会などで仕事の楽しさや面白さを伝えても殆どの人はピンと来ないのです。

以前こちらの記事にも書きましたが、内定後に就職決定企業を決めた理由の1位は、「社会貢献度が高いから」という理由なのです。そしてこの順位はここ10年以上殆ど変わっていません。この社会貢献度というのは、「働く事に対するイメージが出来た」、「仕事内容に共感する事が出来た」という意味なのです。働く事に対する新しい価値観や、正しい就業感を与えてくれる企業こそ、入社後の「やりがい」「好きな事」「やりたい事」に繋がるのです。就活で求める「やりがい」というのは、その企業の存在価値であったり、社会でどういう役割を担っているかをちゃんと教えてくれる企業の事なのです。

行きたい企業を決める時の3つのポイント

甲子園で投手として大活躍し日本ハムに入団が決まった吉田輝星選手は、最初は巨人を志望していましたが、プロ志望届を提出した後は「球団はどこでもいい」という発言をしていたのが私にはとても印象的でした。普通皆さんが就活をする時、入社する企業はどこでもいいという訳にはいかないでしょう?吉田輝星選手が球団に拘らない理由は、野球というものを日本だけでなく「世界」という視野で捉えているからです。後楽園球場に行くのがゴールではなく、WBCに行ってメジャーに挑戦するという夢があるからです。元ヤンキースの松井秀喜選手も実は阪神ファンでしたが、ドラフトの時は「どこに行っても頑張ります」というスタンスでした。

物事を小さい視野で捉えてしまうと、働く動機ややりがいには繋がらないのです。野球選手のやる事(業務内容)は毎日汗だくになって練習する事ですが、練習メニューだけを聞いて頑張る気にはなりませんよね。大きな話をしないまま、いきなり中身の話をされるとうんざりしてしまうのです。目の前の事だけではなく、その先にあるものをちゃんと見据えた上で広い視野で物事を捉える事が重要です。
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木山智義のプロフィール

株式会社ハイストリート

 

筑波大学大学院 生命環境科学研究科 博士前期課程修了
株式会社ハイストリート 代表取締役
東京のIT企業にて年間300人以上の方と面接を行っており、会社を経営しながら、採用コンサルタント、統計アナリストとして活動しております。

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