希少人材になるためのポイントは有効求人倍率
希少人材とは
以前、元看護師の女性の方からエンジニアへの応募があり、なぜこのタイミングでエンジニアになりたいのか尋ねたところ、「アプリを作ってみたいと思ったからです。それに。。。看護師にはいつでも戻れますから」と言われた時に、「なるほどな」と感心してしまった事があります。
「希少人材」とは、世の中のニーズが高い分野で、専門性の高い知識と経験を持つ希少価値の高いレアな人材の事を言います。ただ希少人材といってもそんなに難しい事ではありません。マルコム・グラッドウェルは自身の著書「成功する人々の法則」において、「何事も10,000時間かけてトレーニングすれば、その道のプロになれる」と説いています。1日に8時間働いたとして、1ヵ月で160時間、1年で約2000時間なので、1つの事を5年も続ければその道のプロになれるのです。実際に私もIT業界でゼロから独立するまでにかかった期間は4年半です。
大事なポイントとしては、世の中のニーズが高い分野の職種でないと、いくら頑張っても希少人材にはなれないのです。
【希少人材になるポイント】
①世の中のニーズが高い職種かどうか
②自分の得意な事を活かせるかどうか
ではどのような職種がニーズが高く希少人材になりやすいのでしょうか?今回は厚生労働省が発表している「有効求人倍率」から、「職種によるニーズの違い」を紹介したいと思います。
有効求人倍率とは
【有効求人倍率】
仕事の求人数を求職者数で割った数値の事。「1」より大きくなるほど求人数(仕事の数)が多く、働き手が足りない事を示しています。「1」より小さくなるほど求人数より求職者数が多く、仕事探しが難しくなります。
有効求人倍率が5.0の場合、求職者1人に対して5個の求人があるという事です。実は有効求人倍率を読み解く事によって、「転職の難易度」が分かると同時に、その職種に社会のニーズがどの程度あるのかが見えてくるのです。
職種別の求人倍率や賃金幅など、業界全体の基準は必ず知っておく必要があります。それは、そこから自分の方向性を見極める事も出来ますし、何よりも「納得感」のある就職をするためです。
職種別の有効求人倍率(2019年7月)
厚生労働省「職業安定業務統計」より、主な職種の2019年7月時点の有効求人倍率が高い順に並べてみました。更にその職種ごとの求人賃金の上限と下限も参考として記載します。(全て正社員のみ)
職種 | 求人倍率 | 前年度 | 求人賃金の上限と下限 |
全職業の合計 | 1.40 | 1.40 | |
建設躯体工事 | 11.54 | 11.47 | 404,573円~249,922円 |
建築・土木・測量技術者 | 6.75 | 6.06 | 441,092円~272,208円 |
建設・採掘系 | 5.60 | 5.09 | 362,155円~236,382円 |
土木 | 5.55 | 4.87 | 350,924円~241,280円 |
建設 | 5.30 | 4.94 | 371,409円~240,291円 |
医師・薬剤師 | 4.47 | 5.81 | 404,610円~280,719円 |
電気工事 | 3.92 | 3.48 | 339,528円~220,534円 |
介護 | 3.62 | 3.35 | 228,742円~200,253円 |
飲食物調理 | 3.02 | 2.97 | 285,442円~215,423円 |
接客給仕 | 2.97 | 2.90 | 343,108円~239,196円 |
輸送・機械運転 | 2.61 | 2.5 | 274,807円~220,816円 |
情報処理・通信技術者 | 2.44 | 2.57 | 421,231円~239,808円 |
商品販売 | 2.09 | 2.06 | 252,488円~199,728円 |
営業 | 1.87 | 1.88 | 320,285円~224,682円 |
農林漁業 | 1.43 | 1.38 | 277,417円~200,049円 |
運搬・清掃 | 0.58 | 0.6 | 242,444円~202,385円 |
美術家・デザイナー | 0.40 | 0.47 | 319,246円~219,337円 |
一般事務 | 0.34 | 0.33 | 245,862円~197,352円 |
出典:厚生労働省「職業安定業務統計」2019年、2018年資料
出典:東京労働局「ハローワーク職種別賃金状況」2019年7月資料
考察と分析
有効求人倍率が高い順に見ていくと、上位には軒並み建設系の職種が並んでいます。1位の建設躯体工事という仕事は、建物の骨組みを組み立てる仕事、簡単に言うととび職です。建設関係の仕事は求人が多く待遇も悪くありませんが、キツイイメージがありとにかく人が取れない不人気業界なのです。
しかし、建設関係の仕事は身に付く専門技術が多く、更に有効求人倍率も高いため、5年も経験を積めばいくらでも仕事が選べる希少人材になれる可能性が高い事が考えられます。
それに対し、最下位の一般事務の仕事は有効求人倍率が0.34と低く、経験を積んでも求人が殆ど無い事を意味しています。実は事務の仕事というのは、新卒の場合多くの求人があるのですが、30歳を超えると正社員雇用は殆ど無くなってしまうのです。それは、皆似たようなスキルの人が多い為、わざわざ給料の高い経験者を雇うより若い人を雇った方が会社としてもメリットがあるからです。
この順位を見ると、上位には専門的な職種が多く、やはり大事なのは「専門スキル」である事が考えられます。ただ求人には需要と供給のバランスやトレンドなどがあり、「専門スキルが高ければ希少人材になれる」とは一概には言えませんが、実はスキルが得られない環境は一番のリスクなのです。
どんなに過酷な環境で低賃金だったとしても、スキルが得られる環境であれば、その経験を活かしていくらでもキャリアアップが可能だからです。そして転職すれば給料は必ず上がります。本当の意味でのブラック企業とは、スキルが得られない企業の事なのです。
求人の賃金幅に関しては、当然会社やキャリアによって違うのであくまで目安ですが、その目安が分かっていれば、自分の市場価値をある程度把握する事が出来るのです。キャリアアップとは「市場価値・年収・スキル」を継続的に高める事なのです。
「職業に貴賤なし」。どんな仕事も社会に貢献しており、仕事自体に優劣はありませんが、かと言って仕事は何でもいいという訳ではありません。私が起業した理由の一つとしては、色々なところからオファーがあり仕事を選ぶ事が出来たからです。多くの選択肢がある中で、サラリーマンにはいつでも戻れるという自信があったからです。希少人材になるために大事なのは、その仕事をやりたいかどうかではなく、自分の得意な事を活かせる職種の見極めなのです。
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