ゆとり世代の就活は親を説得する力が必要
ゆとり世代の若者理解
私はよくセミナーなどで大学を訪問するのですが、以前とある大学で4階の教室に行こうとしてエレベーターに乗った際に、女子大生のグループがいきなり全速力で走りこんできて、ドアが閉まる直前に持っていた鞄を挟み込んでエレベーターに乗ってきたのです。
私はその光景を呆然と見ていましたが、学生とはいえなんてマナーの悪い人達なんだろうと思いました。そしてその女子大生グループは特に悪びれる様子もなく、エレベーターの中でも終始騒ぎながらそのまま降りて行きました。ただ運の悪い事に私と同じ階で降りたと思ったら、入った教室も同じだったのです。私が教壇に立ってセミナーを始める前に、女子大生グループに先程の事を軽く注意したところ、その中の誰かに「チッ」と言われ、何の反省もない様子でした。
しかし、そんな子に限っていざ就活が始まると別人のように変わるのです。ビジネスマナーや協調性というのは、就活を通じて学ぶ事がとても多いのです。
大学3年生の終わりごろに就活に関する講座を一通り受け終わると、急に社会人としての心構えが芽生え、いきなり礼儀正しくなる人や、いきなり相談にやってきて色々な事を積極的に質問してきたり、急にスイッチが入ったかのように就活モードにシフトする人がとても多いのです。
つい数か月前までは普通のギャルだったのに、急にリクルートスーツに身を包み、「先生、何かお手伝いする事はありませんか?」と言われた時は正直ビックリしてしまいました。これが「今時のゆとり世代の若者の特徴」ではないでしょうか。
■私なりに「今時のゆとり世代の若者の特徴」をまとめてみました。
・仕事よりもプライベートが優先
・自主性が低く、指示待ちの人が多い
・叱られた経験が殆どないので、叱られると逆ギレする
・言われた事はきちんとやる、まじめで勉強熱心
・恋愛・車・旅行に興味が無い
・家族との絆が強い、人懐っこい
・気の合わない人とは無理して付き合わない
・欲が無く人の為に活動したい、褒められたい
親を説得出来ないゆとり世代
面接で私から聞く事はありませんが、以前学生の方から、「尊敬する人物は私の父親です。」と言われた時も正直驚きました。今の30代以上の世代で、就活でそんな事を言った人はまずいないでしょう。ただゆとり世代の就活では親がとても重要な関わり方をするのです。
以前ある大手のお菓子屋さんの採用担当の方とお話しする機会があり、その方はなかなか採用がうまくいかなくて困っているようでした。その会社は規模もそこそこで、待遇面も全く悪くありません。しかし、その会社は高卒と大卒の採用の割合がちょうど1:1なのだそうです。私が、「なぜ大卒と高卒の採用の割合が同じなのですか?むしろ全員高卒じゃダメなんですか?」と聞いてもその採用担当は答えられませんでした。実はここに問題があるのです。
何故かと言うと、ゆとり世代は家族関係がとても強いのです。大卒者を採用する明確な理由が無いという事は、親のフィルターに引っかかる可能性があるのです。いくら企業が内定を出して学生もその気になっていても、「親にダメだと言われたから」という理由で内定辞退する人はとても多いのです。「何で大学まで出てお菓子屋なんだ?」、「何でわざわざその仕事なんだ?」と親に言われてもそれを説得出来ないのです。
私はどんな仕事であれ就職するのに大卒も高卒も関係無いと思いますが、今のゆとり世代の就活というのは、企業側も学生側も親を納得させる理由がなければならないのです。
業界・職種・業務内容・会社規模・待遇・企業イメージ・離職率など、会社を判別する基準は様々ですが、やはり親世代が1番重視しているのは職種です。だから学生も無意識のうちに身の丈に合わない同じところばかり受けて、ことごとくふるいにかけられてしまうのです。これがゆとり世代における就活の弊害でもあります。
内定を貰った企業が、大手で待遇もイメージも素晴らしいところであれば、わざわざ親を説得する必要はないかもしれません。しかし大手に入社する人は全体の1割程度です。残り9割の人は中小企業やベンチャーに就職する事を踏まえると、家族関係を維持したまま親を説得出来る理由と、それに見合った企業・職種を選ぶ必要性があります。
ただ家族関係が強いという事は弊害だけではありません。色んな意見を聞く事が出来るというメリットもあります。自分の事は意外と自分では分からないものです。素直に人の意見を取り入れるのも時にはいい場合もありますよ。
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